【Amazonに学ぶ】言語化の極意|社内報告はパワポ禁止のワケ

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自分の考えや感情を適切な言葉で表現することが苦手で、相手にうまく伝わらない経験は誰しもあるのではないでしょうか。

  • 「ジェスチャーやその場の雰囲気で何となく成立していた会話が、電話/メールが中心となるテレワークでは通用しない」
  • 「“コミュニケーションの質”が低下してしまっている」
  • 「やはり顔を合わせて会話する方が楽だし、そこがテレワークの限界!」 

そう感じている方は少なくないでしょう。

しかし、問題はテレワークではなく、あなたの言語化力です。これまではうまく誤魔化せていただけであり、テレワークによって言語化力の低さが丸裸にされているのです。

この記事では、なぜ言語化するのか、そのコツ、本質を掘り下げていきます。

また、Amazon社の徹底した社内報告ルール(いわゆるA4 1枚ルール)を紹介し、明日からでも実践できるコミュニケーションスタイルをお伝えします。

 

言語化のイロハ

言語化の定義

広辞苑による “言語“の定義は

人間が音声または文字を用いて事態(思想・感情・意志など)を伝達するために用いる記号体系。また、それを用いる行為。ことば。 

なのですが、実は、“言語化”という言葉の定義はありません。

 

“言語“の定義をベースにすると、

口頭や文章を使って、考え・感情・意志を伝えるという行為 

言語化の定義に近づいてきました。特に、“伝える”、つまり相手に伝わる、理解してもらうことが“言語化”の目的と言えます。

 

それを踏まえて、ここでは”言語化”の定義を以下のよう設定します。

自分の考え・感情・意志を相手に理解してもらうために、口頭や文章を使って相手に伝えること 

別の言葉に置き換えると、アウトプットする、と捉えると分かりやすいでしょう。

言語化のメリット

なぜ言語化が大切か、その3つの理由を説明します。

結論から言うと、記憶定着、思考の客観視、要約力という効果が期待できるからです。

記憶定着

人に教える経験ほど記憶が定着しやすいというアクティブラーニングの考え方があります。言語化とはまさに相手に理解してもらうために説明する行為のこと。

読書して学んだ内容や人から聞いた説明など、理解した気になっていている。でも、いざ自分の言葉で説明しようとすると言葉につまる、説明できない、といった経験はありませんか?

それは自分なりに内容を咀嚼し、理解できていないから。言語化してはじめて、理解が深まり、記憶の定着が促されます。

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思考の客観視

言葉にできないモヤモヤ感、まとまり切らないアイデアなどを頭の中で思い巡らすことがあると思います。

自分が一体何を考え、何を感じているのかを、手帳に書きなぐったり、誰かに悩みを打ち明けたりしてはじめてはっきりする経験は皆さんもあるでしょう。

このプロセスによって思考や感情を客観的に見つめることができます。

 

また、ペンシルバニア州立大学で生物行動学の教授をしているジョシュア・スミス氏らの研究チームによると、トラウマ体験の筆記を通して、その体験を肯定的に見ることができるようになるという結果が証明されたそうです。

この研究が裏付けているように、言語化することで「自分が真に何を考え感じているのか」を冷静に捉えることができますし、自分自身の精神状態を安定させる目的にも効果的です。

要約力

ものごとの本質を掴むには言語化が効果的です。

言語化の目的である“相手に理解してもらうこと”を目指すと、相手に伝わる語彙・表現の選択、端的かつ論理的な文章構成を意識できるようになります。

ここでのポイントは、「一言で表すなら?」と自問自答すること。言語化能力が高まると、不必要な要素をどんどん排除して、アイデアの純度を高めていくことができます

言語化のコツ

言語化のメリットを理解した上で、言語化するコツを見てきましょう。

5W1H思考

5W1Hとは、When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が・を)、What(何が・を)、Why(なぜ)、How(どのように)のこと。

誰に向けて話しているのか、話の目的は何か、どのような理由からそう考えるのかなど、自分の思考や感情に対していくつも質問をしてみましょう。思考や感情を分解して再確認すれば、相手へより伝わりやすい文章を作ることができるようになるはずです。

なぜなぜ分析

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なぜ?を繰り返して、本質まで掘り下げましょう。

“カイゼン”を世界に広めたトヨタ自動車は、なぜ?を5回繰り返す“なぜなぜ分析”を徹底しています。

“なぜなぜ分析”は問題の根本的な原因を特定するために、なぜ?を繰り返すことで真の原因を究明する分析手法です。

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これは個人レベルにも応用できます。言語化する際、「こう思うのはなぜ?」「これが大切なのはなぜ?」と、なぜ?を自問自答します。そうすることで、最も伝えたい本質まで掘り下げることができます。

ちなみに、なぜここでブラックビスケッツの「タイミング」か?

これが分かった方は、ウリナリ世代確定&“なぜなぜ分析”を早速実践できていますね!

 

Amazonに学ぶ言語化の極意

Amazonの社内報告ルールを紹介します。そこには言語化のエッセンスが詰まっていますので、参考にしていきましょう。

パワポ禁止

Amazonでは社内プレゼンでパワポ禁止となっているのは有名な話。ジェフ・ベゾス氏が外部コンサルによるプレゼン内容(パワポ)に激怒したことが発端とも言われています。

ベゾス氏が激怒したポイントは…

 

  • ビジュアルに凝って、見掛け倒し
  • アニメーションなど見てくれに時間をかけることも多い
  • 具体性がなく、何を提案したいか分からない
  • 要点だけを箇条書き、詳細は口頭
  • 都合のいいグラフを多用、提案のメリットや効果を強調
  • しかしあとから資料を見返しても、肝心なことが口頭説明だけであり、何も書かれておらず、なんだかよく分からない
  • 作成者の主観が過剰に入り込む

A4 1枚ルール

Amazonでは“A4 1枚ルール”と呼ばれる社内報告ルールがあります。

 

【Progress report】(経過報告)

  • Introduction(序論、まとめ、結論)
  • Overview of Plan(プランの概要)
  • Review of Progress(進捗状況)
  • Changes in Plan Since Last Update(前回の報告からの変更、変化)
  • Overview of Risks(リスクの概要)
  • Next Steps(次のステップ)

 

ここで、いくつかポイントがあります。

レビューと訂正

特に、スペルと文法ミスは厳禁。間違いがあると提案者やドキュメントの信頼性が損なわれ、会議の参加者が提案内容から気をそらしてしまうためです。ミスを防ぐために、自分で何度もチェックすること、そして同僚や上司のレビューを受けること。ミスの発見だけではなく、新たな気づきを得ることもでき、ドキュメントの質が向上します。

フォーマットに則る

冒頭に明確な目的を示し、それに応じたフォーマットに則ってストーリーを構成すること。上記の例でも“Introduction(序論、まとめ、結論)”から始まりますが、単なる経過報告なのか、予算承認依頼なのかなど、必ず報告の目的を記載しましょう。

簡潔にする

参加者に何を伝えたいか、論旨が明確であるかを自問すること。文章に不要な言葉、文章、段落を含めないよう意識しましょう。“なぜなぜ分析“をすることで本質まで掘り下げる作業がおすすめです。

曖昧な単語を使わない

曖昧な単語は表現を弱くするので、なるべくデータ、数字を明示すること。

 

【避けるべき単語の例(英語)】

should, might, could, often, generally, usually, probably, significant, better, worse, soon, some, most, fewer, faster, slower, higher, lower, many, few, completely, clearly etc…

 

「~は重要です」と報告しても、「なぜ重要なんだ?」と突っ込まれます。「早くとか、as soon as possibleとか」は抽象的すぎてダメです。

何と比較して早いのか、具体的にいつまでなのか、数字、データを使って示しましょう。

即実践!言語化の極意

Amazonの社内報告ルールをベースに作成した、即実践できるフレームワークを紹介します。

ドラゴンボールの具体例で考えてみましょう。

ベジータ(上司)がクリリン(部下)に、「フリーザはどうだ?」と聞いたとします。

 

クリリン(部下)「いやー、フリーザはスカウターでネイルの戦闘力を測って4万2千と言ってたけど、ネイルって思っていたよりも強いんだなあ。」

 

「でも、そのネイルに対してフリーザは『左手1本で戦えば少しは楽しめそうですね』って言って、ハッタリかましてるのかなと思った。」

 

「けどよ、ネイルは手も足も出ずに、フリーザにボコボコにされるのを見て、フリーザ…こいつはバケモンだって思ったわけさ。」 

 

ベジータ(上司)「クソッたれぇぇぇぇ!結論から言わんかぁ!」

 

「お前がチンタラ説明している間にフリーザに殺されたらどうする!」

 

クリリン(部下)の報告はダメな例ですね。次のような報告の仕方が理想的です。

 

  • 導入:フリーザの戦闘力についての報告
  • 結論+判断:(結論)フリーザの戦闘力は53万と推測されるので、(判断)ナメック星から即座に退散すべし
  • 根拠:①フリーザと対戦したネイルの戦闘力が4万2千。②フリーザは左手だけで対戦したにもかかわらず、③ネイルは手も足も出ず。④フリーザは自身の戦闘力を53万と自称した。
  • 解釈:両手両足計4本をフル活用した場合の戦闘力を53万とすると、左手1本の戦闘力は単純計算で53万÷4≒13万。にもかかわらず、ネイルの1回り、いや2回り以上の実力差を左手1本だけで感じた。つまり、左手1本で13万、フルで53万という自称はあながち間違いではない可能性が高い。
  • 判断:戦闘力53万のフリーザは化け物。ベジータはじめ、フリーザよりも戦闘力が高い者は誰もいないので、殺される前にドラゴンボール探しをやめて、即座にナメック星から退散すべし
導入

何はともあれ導入からです。

いまから話すことは相談/報告/提案なのか、話す目的を伝えます

そして、何について話をするのか、テーマを伝えます

聞き手の上司の立場からすると、ただ確認するだけでよいのか、判断を求められているのか、助言を求められているのか、最初に目的が分かるとその後の話に集中できます。

結論

今回の例だと、フリーザの戦闘力が53万という報告、そしてナメック星退散という判断です。

ここでのポイントは判断まで合わせて報告すること。

よくありがちなダメな例は、フリーザの戦闘力が53万だった、という報告で終わること。上司からすると、「だから何?So What?」となります。

ナメック星退散という判断(提案)を受けて、上司は「いますぐ宇宙船に乗りこめ!」と指示を出すのか、「サイヤ人の血が騒ぐぜ!」と戦いを挑むのか、意思決定を行います。

根拠

ここでは事実のみ述べます。数字やデータなど客観的に明示できるものが好ましいです。自分の主観や解釈、意見は含めません。

ダメな例は、事実と意見を混同すること。意見は報告者のフィルターや主観に左右されるため、事実提示のみに留めます。

解釈

ここで初めて自分の意見や主観を述べます。事実と区別することを意識しましょう。

フリーザから感じた圧倒的オーラや自信、ネイルの尋常じゃない冷や汗の量など、いわゆる現場の肌感覚です。

データや数字では表現できない、報告者の付加価値、センス、勘が求められます

判断

さいごに、客観的事実と主観的解釈を総合的に判断して、これからどうすべきか、というアクションプランを報告します。

冒頭の結論でナメック星退散という判断を既に報告していますが、その点をここで詳しく説明します。

 

さいごに

言語化のコツや本質、そしてAmazonの社内報告事例などをお伝えしました。

 

  • 言語化のメリット:記憶定着、思考の客観視、要約力
  • 言語化のコツ:5W1H思考なぜなぜ分析
  • 言語化の実践:導入+結論&判断+根拠+解釈+判断

 

言語化を意識することで、自己理解、ものごとの理解、そして他者との相互理解を深めていきましょう。

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